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TRIAL 試し読み

サビン

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第5話

グウェンの目の前でサビンは男を殺した。
あれから数時間たち、もうあのテントからは出たが、男が膝から崩れて真正面に倒れ、ごほごほいったあと何の音もたてなくなった様子が、グウェンの頭からどうしても離れなかった。
サビンの中にそういう凶暴さが――彼女自身を殺人に走らせるのと同じ凶暴さがひそんでいるのはわかっていた。冷酷で、感情のぬくもりに動じないことも知っていた。目を見ればわかる。暗く冷たく、すべてを計算している。二日前に彼女を檻から出した瞬間から、サビンが周囲を観察し、人や物をどうやって自分の利益につなげるかを判断しているのに気がついた。役に立たないものはすべて屑なのだ。
彼女も捕らえられているときは屑だった。ところが今、彼から協力を求められている。
けれどもグウェンは、初めて触れたときサビンに押しやられたことを忘れられなかった。あのときは本当に恥ずかしかった。彼の固くなった指先で撫でるように触れられただけで、体が引き寄せられてしまった。サビンは彼女とかかわりたいなどと思ってもいないのに。けれども彼はあまりにあたたかく、その肌はエネルギーに満ちていた。長い間、肌のぬくもりから遠ざかっていた彼女は、自分を止められなかった。
触れないでくれ、とサビンは言った。もう一度手を伸ばそうものなら殺されそうな勢いだった。
その冷たい仕打ちでグウェンは思い知った。彼らが見知らぬ者であること、あの人間たち同様に極悪非道な目的を持っているかもしれないことを。だからグウェンは距離を置き、この二日間、彼らを観察し、人目をはばかる会話を盗み聞きした。精神的に耳を閉ざせる能力が回復したので騒音に悩まされることはなくなり、何食わぬ顔で戦士たちの秘密の会話をとらえることができた。
そういうふうにして今朝盗み聞きした会話がグウェンの胸に繰り返しよみがえった。
“かれこれ一カ月近くここにいるが、聖遺物は見つからない。いくつピラミッドを探せばいいんだ?ハンターがいた最後のピラミッドが当たりだと思ったんだが……”
戦士たちはまたハンターの話をした。クリスのことをそう呼んでいるのだ。なぜだろう?
“そうだな。これだけ探してるのに箱の気配すらない”
聖遺物?箱?
“そろそろ引きあげるか?”
“それがいい。目が新しい手がかりをとらえるまでは動きがとれない”
おかしな会話だ。目が手がかりをとらえる?手がかりって、何の?そして誰の目のことだろう?もしかしてルシアンという戦士のことだろうか。ルシアンの目は一方が青でもう片方が茶色だ。
“ガレンのほうも無駄足だったならいいんだが。心臓を貫く槍なら見つかってもかまわないぞ。ぜひ手伝ってやりたいぐらいだ”
ガレンって誰だろう?大事な人なのかしら。あの戦士たち……どこかちぐはぐだ。戦士たちの半分は中世専門の雑誌から抜け出てきたようなしゃべり方をする。残りの半分はストリートギャングの仲間といっても通るぐらいだ。でも全員が深い絆でつながっているのはよくわかった。仲間の気持ちに気を配り、ジョークを言いあって笑い、互いの背後に目を光らせている。
サビンがルシアンと話をしに行ったとき、三人の戦士と女戦士カメオがこっそりテントに入ってきた。そして四人とも同じメッセージを持ってきた。仲間に手出ししたら後悔するぞ、というものだ。皆返事も待たずに出ていった。カメオの声ときたら……グウェンは身震いした。あの声を聞いただけでもう後悔してしまう。
テントの中に一人でいる時間が長かったので、逃げようと思えば逃げられた。試してみればよかったのかもしれない。けれども周囲はどこまで行っても砂漠で、太陽がぎらぎらと照りつけ何がひそんでいるかわからない。グウェンは恐怖で動けなかった。
アラスカの雪山で育ったけれど、砂と太陽に負けることはないだろう。グウェンが恐れたのは未知なるものだ。敵意を持った原住民や飢えた獣の群れとでくわしたらどうしよう?敵か味方かよくわからない男たちの一団と出会ったら?
そもそも、ボーイフレンドのタイソンを追いかけて一人で州境を越えたことが、あのガラスの檻に捕らわれる原因となった。もし戦士らにひどいことをされたなら思いきって逃げる気にもなっただろう。だが彼らは指一本触れようとしない。グウェンはそれをうれしいと思った。サビンは“触らない”という約束を守っている。それが天からの贈り物でなくてなんだというのだろう。

「大丈夫かい?」

ストライダーという名の戦士がグウェンの座る贅沢なレザーシートの隣に腰かけた。空を飛ぶプライベートジェット機は乱気流で揺れていた。
けれどもグウェンは意外なほど恐怖を感じなかった。
彼女は苦々しい笑いを押し殺した。怪しい人影を見れば逃げたくなるが、骨が音をたてるほど飛行機が揺れてもあくびが出るだけだ。彼女自身、ある意味では飛べるからそう思うのかもしれない。もっとも飛ぼうとしたことなど一度もないけれど。あるいは、この一年のつらさに比べれば墜落などなんでもないと思えるからかもしれない。

「顔色が悪いぞ」

グウェンが黙ったままなのを見てストライダーが言った。そしてポケットから赤いキャンディの袋を取り出し、口いっぱいに放りこむと、彼女にもすすめた。シナモンの香りをかぐとグウェンはつばがわいた。

「何か食わないとな」

少なくとも彼は怖くない。今のところは。どうしてこの人たちは何かというとジャンクフードを差し出すのだろう?

「いらないわ。わたしなら大丈夫」

ケーキのショックがまだ生々しく残っていた。
もちろん食べたことは後悔していない。あの甘さ……満腹感……あれは天国だった。つかの間で終わったけれど。でももう人からもらったものをなんでも食べるなんてばかなまねはしない。ハルピュイアは、盗んだものや報酬として受け取ったものしか食べられないように神々に呪いをかけられている。それは祖先が犯した罪の報いであり、グウェンには何の責任もないが、だからといってどうすることもできない。
こうなれば飢え死にも覚悟のうえだ。
この男たちのものを盗むような勇気はないし、わずかばかりのお菓子と引き換えに大変なことを要求されるのも困る。

「ほんとに?」

ストライダーはそう言ってまたキャンディを口に入れた。

「小さいけどパンチがきいてるぜ」

戦士らの中でこの人がいちばんやさしい。誰より気遣ってくれる。明るい青い目には一度も軽蔑の色が浮かんだことがない。サビンのように怒りが浮かぶこともない。
サビン。グウェンの思いはいつも彼に戻っていく。
グウェンはサビンを目で捜した。彼は向かいの座席にもたれて目を閉じ、シャープな頬のくぼみにまつげの影を落としている。ミリタリーパンツと銀のチェーンネックレス、手にはレザーの男性用ブレスレットをつけている――サビンは“男性用”でなければ身につけなさそうだけど。寝顔からは緊張が消えている。険しいと同時に少年のような不思議な顔だ。
グウェンはその謎を解きたいと思った。解けたら彼を求める気持ちは止まるだろう。サビンがどこにいるのか、何をしているのか、グウェンは五分とあけずに考えずにいられなかった。今朝、出発の用意のため荷造りをしている彼を見つめながら、グウェンは自分の爪が彼の背中に、歯が首に食いこんでいるところを想像した。傷つけるためではなく、快感を得るために!
これまで何人か恋人がいたけれど、こんな思いを抱いたことはなかった。グウェンという生き物はベッドの中でもおとなしい。サビンの存在が、“戦いに勝つことしか頭にない”という彼の態度が、こんな……暗い思いを刺激するのだ。きっとそうにちがいない。
サビンがあんなふうに人間の喉をかき切ったところを見たら、嫌悪感を抱くのが当然だ。せめて、やめてと叫び、抗議すればよかったのに、彼女の内なる獣、逃れられない怪物は成り行きを見抜いて喜んだ。グウェンはあの男が死ねばいいと思った。今でも胸に感謝の気持ちがわいてくる。サビンへの感謝、そして身震いするほど冷酷に正義の裁きをくだした彼のやり方への感謝が。
進んで飛行機に乗りこんだのはそれだけが理由だった。行き先はアラスカではなくブダペストだ。それに戦士たちは彼女を尊重して距離を置いてくれた。もちろんあのケーキのこともある。もう二度とあの甘い誘惑に負けるわけにはいかないけれど。
いや、負けてもいいのかもしれない。気を変えて、罰を覚悟でひとつ盗むのだ。盗みの腕前はさびついているが、檻を出てからの飢えはひどく、体はどんどん弱っている。もし戦士たちが彼女に危害を加えたら、行動を起こすきっかけになる。そうなったら家に帰ろう。
でも決めるなら早いほうがいい。このままだと、料理ひと皿どころかパン屑を盗み出す体力も判断力もなくなってしまう。出ていく力も残らないだろう。空腹だけでなく、体力の衰えとも闘わなくてはいけない。
永遠に起きていなければいけない呪いがかかっているわけではないけれど、他人の前で眠るのはハルピュイアの掟に反する。それも当然だ!睡眠は人を無防備にし、攻撃から、そして誘拐から身を守るすべを奪う。グウェンの姉妹はそれほどたくさんのルールを持たないが、この掟だけは別だ。グウェンももう二度と破ってはいけない。すでに姉妹の顔に泥を塗っているのだから。
でも食事も睡眠もとれなければ体力は衰えるいっぽうだ。健康を取り戻そうとして彼女の中のハルピュイアが目覚めるのももうすぐだ。
彼女の中のハルピュイア。ひとつの存在だけれど、グウェンは別物だと考えている。ハルピュイアは人殺しを好むが彼女はちがう。ハルピュイアは暗闇を好むが彼女は光が好きだ。ハルピュイアは混乱を楽しみ、彼女は静けさを楽しむ。ハルピュイアを目覚めさせるわけにはいかない。
グウェンはケーキがないか飛行機の中を見まわした。けれどもその視線はアムンに留まった。戦士の中でいちばん色黒で、グウェンは一度も彼が話すのを聞いたことがない。ここからいちばん遠い席に座り、両手でこめかみを押さえて痛そうなうめき声をあげている。茶色と黒の髪をしたパリスが隣に座り、考えこむように窓の外を見ている。鮮やかな青い瞳と白い肌を持つ彼をグウェンはセクシーだと思うようになった。
二人の向かいに座っているのが頭のてっぺんから爪先までタトゥーだらけのアーロンだ。彼もまたストイックで無口な男だ。この三人はまるでみじめさを絵に描いたように見える。自分をみじめだと思っていたのがおかしいぐらいだ。この人たち、いったいどうしたのかしら。誰かケーキのありかを知らないだろうか。

「グウェンドリン?」

ストライダーの声がして、グウェンははっとして物思いから覚めた。

「何?」

「聞いてなかったのか」

「あら、ごめんなさい」

何か尋ねられたのだろうか?
飛行機がまた揺れた。額に金髪がかかり、ストライダーはそれを払いのけた。その拍子にまたシナモンの香りがした。グウェンのお腹が鳴った。

「食べないのはわかってるが、喉が渇いただろう?飲み物はどうだい?」

ええ、ぜひともお願い。つばがわいたが、グウェンはいらないと答えた。

「せめて水のボトルは持っててくれ。キャップがついてるから、おれたちが何か仕込む心配はない」

ストライダーは冷えて水滴のついたボトルを脇のカップホルダーから取り出し、グウェンの目の前で振ってみせた。ずっとホルダーにあったのかしら?
グウェンは心の中で泣いた。なんておいしそうなの……。

「あとでいいわ」

その声はしゃがれていた。
ストライダーは、お好きなようにというように肩をすくめたが、目はがっかりしていた。

「後悔するぞ」

そばにきっと何か盗めるものがあるはずだ。グウェンはまた飛行機の中を目で探った。その視線は、サビンのそばにある飲みかけのチェリー風味の水に引き寄せられた。グウェンは唇をなめた。いいえ、後悔するのはサビンよ。ストライダーが席を外したらすぐに行動しよう。あとでどうなろうがかまわない。
やっぱりやめておこうか。いや、だめだ。でもせっかくストライダーがそばにいるのだから、質問してみよう。その間に勇気が出るだろう。

「どうして飛行機を使うの?ルシアンという人がほかの女性たちを連れて消えるのを見たわ。一瞬でブダペストに行けるんでしょう?」

「瞬間移動が苦手な奴もいるんだ」

ストライダーはまっすぐサビンを見た。

「子どもってこと?」

思わずそんな言葉が出てしまった。姉たちにならこういう言い方をするだろう。やりこめられる心配をせずに自分を出せるのは姉たちだけだ。ビアンカとタリヤとカイアはグウェンを理解し、愛し、守るためならなんでもしてくれる。
彼女の言葉にストライダーは怒らず、おもしろいと思ったらしく突然笑い出した。

「そんなところだな。だがサビンもレイエスもパリスも、瞬間移動して具合が悪くなるたびに、風邪だと思いこもうとしてるよ」

双子のビアンカとカイアも同じだ。限界を認めるぐらいなら病気のせいにするだろう。いっぽう氷のように冷たく厳しいタリヤは物事に動じない。
ストライダーの笑顔がゆっくりと消え、彼はグウェンの全身をじろじろ見まわした。

「きみには予想を裏切られたよ」

動揺してはいけない。落ち着くのよ。

「どういう意味で?」

「だから……おっと、こんなこと言っても怒らないかい?」

本当は、怒って爆発しないか、とききたいのだろう。この人もわたし自身と同じようにわたしの中の獣を恐れている。

「ええ」

たぶん。
その言葉が本当かどうか推し量るようにストライダーの視線が強さを増した。彼女の顔に強い意志を読み取ったのだろう、彼はうなずいた。

「前にも言ったかもしれないが、おれが知ってるかぎりではハルピュイアっていうのはおぞましい生き物だ。醜い顔、とがったくちばし、鳥の姿の下半身。性格は残虐で冷酷だ。きみは……きみはひとつもあてはまらない」

この人はわたしがクリスにしたことを忘れたのかしら?
グウェンは身動きひとつしないサビンのほうを見やった。呼吸は深く規則的で、レモンとミントの香りが漂っている。伝説がいつも正しいとはかぎらないとストライダーに教えなかったのだろうか?

「濡れ衣を着せられただけよ」

「いや、それだけの話じゃない」

グウェンにとってはそのとおりだ。でもそれをストライダーに言うわけにはいかない。姉たちはラッキーなことに姿を変える力を持つ父から生まれた。タリヤは蛇、双子は不死鳥だ。けれどもグウェンの父は天使だ。彼女はこの事実を人に言うなと言われている。天使みたいに純粋で善良な生き物はハルピュイアにとっては軽蔑すべき存在だし、それでなくてもグウェンには弱点がたくさんある。父のことを考えたときいつもそうするように、グウェンは胸に手のひらを置いた。
ハルピュイアは母親中心の家族を作るが、父親が望めば子どもに会うことができる。グウェンの姉の父は娘たちとかかわることを選んだ。しかしグウェンの父にそのチャンスはなかった。母が許さなかったからだ。母はグウェンに父親の肖像画を渡し、気をつけないとこんなふうになるよと注意した。道徳心が強くなりすぎて食べ物を盗めず、嘘もつけず、自分より他人を心配するようになる、と。母のタビサがグウェンに愛想をつかして縁を切ったときも父からの連絡はなかった。父は娘の存在を知っているのだろうか?グウェンの胸に父への愛慕の念が込みあげた。
グウェンはずっと夢を持っていた。彼女に危害を加えるものを父が蹴散らし、胸に抱いて空へと連れ去ってくれることを。愛し大切にされることを。父といっしょに天国で暮らし、世のあらゆる悪から、そして自分自身の内なる獣から安全になることを。
グウェンはため息をついた。彼女の血筋を語るときに口にされる名前はひとつだけ、それはルシファーだ。強くて狡猾、執念深くて凶暴――ひと言で言えば敵にまわしたくない存在だ。闇の王子が裏についているとわかれば、人はグウェンにも姉妹にも手出ししようとはしないだろう。
ルシファーが家族だというのは決して嘘ではない。ルシファーはグウェンの母の祖父であり、グウェンの曾祖父だ。グウェンが生まれるずっと前に地上から姿を消したので、会ったことはない。グウェンは会いたい気持ちもなかった。曾祖父のことを考えただけで震えが走った。
慎重に次の言葉を探しながらグウェンは深く息を吸いこんだ。木が燃えるようなストライダーのにおい、そしてシナモンのたまらなくいいにおいがする。残念なことに、それもサビンの退廃的な香りにはかなわない。

「人間は理解できないものがあるとなんでもマイナスのイメージと結びつけるのよ。人間の頭の中では必ず善が悪に勝つの。だから人間より強いものはなんでも悪なのよ。そして悪は醜いと決まっているの」

「そのとおりだ」

ストライダーの口調は共感にあふれていた。その共感がどこまで切実なのか調べるいいチャンスだ。

「あなたたちがわたしと同じように不死の身なのは知っているけれど、何者なのかわからないわ」

ストライダーはもじもじして仲間のほうに助けを求めた。耳をそばだてていた者は皆あわてて目をそらした。ストライダーはため息をついた。

「おれたちはかつて神々の兵士だった」

もう兵士ではなくなったというわけだ。

「でもどうして――」

「きみはいくつだ?」

ストライダーがグウェンをさえぎった。
グウェンは話題を変えないでと言いたかったが、臆病な性格がわざわいして言えなかった。そのかわり真実を打ち明けることのメリットとデメリットを考え、ハルピュイアの母が必ず娘に教える三つの問いを自分に投げかけた。その情報を逆手に取られる心配はないか?秘密にしておけば有利になるか?嘘をついても本当のことを言う程度のメリットはあるか?
言ってもマイナスにはならないだろう。もっともプラスにもならないが、グウェンは気にしなかった。

「二十七よ」

ストライダーは顔をしかめ、まばたきして彼女を見つめた。

「二千七百歳ってことか?」

姉のタリヤのことを言っているならそのとおりだ。

「いいえ、ただの二十七よ」

「人間の年で、じゃないよな?」

「ええ。犬年齢でね」

そっけなくそう言うとグウェンは唇を引き結んだ。いつもならちゃんと言葉を選んでいるのに、どうしたというんだろう?でもストライダーは気にしていないようだ。というか唖然としている。サビンが起きていたら同じ反応を見せただろうか?

「そんなにわたしの年齢が信じられないの?」

二人の間にその問いが響くうちに頭にある思いが浮かび、グウェンの顔が青ざめた。

「そんなに老けて見える?」

「いやいや、とんでもない。でもきみは不死の身だ。力がある」

力がある不死の存在は若くてはいけないのだろうか?それより、この人はわたしに力があると思っている。グウェンの胸に喜びが花開いた。これまでその言葉は姉たちを語るときにしか使われなかった。

「そうよ。でも年はまだ二十七なの」

ストライダーが手を伸ばした。何をするつもりかわからなかったし、理由などどうでもよかったが、グウェンは体をすくめた。サビンには会ったときから触れてほしいと思った。理由は自分でも全然わからないけれど。そのうえ今朝はサビンに人に言えないようなことをしている自分を想像しさえした。でもサビン以外の人に触れられたいとは思わなかった。
ストライダーの腕が元の場所に戻った。
グウェンは体の力を抜いてまたサビンに目をやった。サビンは顔を赤くして顎を食いしばっている。悪い夢でも見ているのかしら?これまで殺した相手が頭の中に押し寄せ、彼を苦しめているのだろうか?自分に眠りを禁じたのは逆によかったかもしれないとグウェンは思った。グウェン自身そういう悪夢に苦しみ、眠りを憎んだ。

「ハルピュイアはみんなきみみたいに若いのかい?」

ストライダーにそうきかれてグウェンは現実に引き戻された。
この情報を逆手に取られないだろうか?秘密にしておけば有利になる?嘘をついても不利にはならない?

「いいえ」

グウェンは正直に答えた。

「わたしの三人の姉はかなりの年齢よ。でもわたしよりきれいで強いわ」

グウェンは姉たちを愛しているので嫉妬はなかった。

「姉たちなら捕まらなかったでしょうね。自分のしたくないことは絶対にしないし、怖いものなしなの」

さあ、これぐらいでやめておこう。これ以上しゃべると自分の失敗と限界だけが際立ってしまう。この男たちには強いと思わせておいたほうがいい。でもどうしてわたしは姉みたいになれないのかしら?姉たちは危険に立ち向かうのに、なぜわたしは逃げ出してしまうの?もし姉がサビンに惹かれたなら、距離を置かれたことを挑発とみなして自分から誘惑しただろう。
いやだ、わたしったら何を考えているの。サビンに惹かれてなんかいない。たしかにハンサムだし、愛しあっているところを想像した。でもそれは感謝の気持ちから生まれたものだ。サビンは彼女を解放し、敵を一人倒してくれた。サビンのことを思うと複雑な気持ちになる。サビンは凶暴だけれど、彼女には一度も危害を加えなかった。でも不死身の戦士に惹かれているなんてありえない。
今度誰かとつきあうときは、思いやりのあるやさしい人間を選ぼう。彼女の内なる獣を刺激しない人。剣を振りまわすより重役会議を好み、欠点だらけの彼女に、大事にされ理解されていると感じさせてくれる人。普通だと思わせてくれる人を。
グウェンが求めるのはそれだけだ。

サビンはグウェンに意識を集中していた。飛行機に乗りこんだときから。いや、正直に言えば出会った瞬間からだ。グウェンが警戒をゆるめないのは彼を怖がっているからだと思ったサビンは、寝たふりをした。彼女が緊張を解いて心を開いたところを見ると、それは正しかったようだ。だが心を開いた相手はストライダーだった。
その事実にサビンはどうしようもなくいらだった。
けれども思いきって目を開ける気にはならなかった。ストライダーがグウェンに触ろうとする気配を感じたときは、あいつの鼻を殴りつけ、骨を脳みそにめりこませてやりたいと思ったが、それでも目を開けなかった。サビンは二人の会話にすっかり心を奪われていた。
グウェンがたった二十七歳の子どもだと聞いて、サビンは自分がとんでもない年寄りのような気がした。彼女はいろいろな意味で自分を失敗作だと思い、姉たちを模範的だと思っている。グウェンよりきれいだと?ありえない。グウェンより強い?サビンは身震いした。姉たちなら捕まらなかった?ふいをつかれたら誰だって捕まる。それは彼自身も同じだ。怖いものなし?深く暗い恐怖を抱えない者などいない。もちろん彼自身もだ。ギデオンが蜘蛛を怖がるように、彼は失敗を恐れている。
グウェンが臆病で、地下墓地での自分の行動にショックを受けたのはたしかだ。彼女が自分の力と凶暴性に疑いを持っているのがサビンにはわかったが、それがどれほど根深いものなのかはわからなかった。自分と姉たちを比べた口調から、グウェンが誰よりも強く自分の力を疑っていることがわかる。頭が疑念でいっぱいなのだ。彼のそばにいたらそれが悪化するだけだろう。
サビンの過去の恋人たちは皆、自信家だった――しかも年齢は三十五歳以上だ。自信家だからこそサビンは彼女らを選んだのだ。ところが皆たちまち変わってしまった。魔物が恋人たちに不安という鋭い爪を突きたてたのだ。外見や判断力や周囲の人に対する疑いを絶えずかきたてられるのに耐えられず、ダーラを含め数人は自殺した。ダーラのあと、サビンは女性と関係を持つことをあきらめた。
そんなときグウェンと出会った。そして欲望を抱いた。それも強い欲望を。ひと晩ならいっしょに過ごすのもかまわないし、理屈をつけて正当化することもできるだろう。でもひと晩で満足するとはとても思えない。グウェンが相手では無理だ。彼女を奪うやり方はたくさんあり、小柄だがスタイルのいい体にしてみたいことは山ほどある。
グウェンに目をやるたびに、みずみずしい美しさがサビンの血に火をつけ、つばがわき体はうずいた。グウェンの不安げな目はサビンの保護本能を刺激し、同時に魔物の破壊衝動をかきたてる。洗い落とそうとしない汚れの奥にひそむ、グウェンの太陽の香りが彼を手招きする。そばへ……もっとそばへと。
近づけば殺してしまうことになる。それを忘れるな。

おれはおとなしくしてるかもしれないぞ。あの子には手出ししないかもしれない。

魔物に甘い言葉をささやかれ、サビンは血が出るまで舌を噛んだ。魔物は今度は悪意を疑わせようとしている。これには一度痛い目にあっている。もうその手には乗らないぞ。

「いつも見てるんだな」

グウェンに話しかけるストライダーの声がサビンを現実に引き戻した。

「何のこと?」

グウェンの声はかすれていた。最初サビンは疲労のせいでそういう口調なのだろうと思ったが、もともとハスキーなのだ。その声はたまらなくセクシーだった。

「サビンを見てるじゃないか。興味があるんだろう?」

グウェンはかっとなったらしく言葉につまった。

「興味なんかないわ!」

サビンは顔をしかめまいとした。ちょっとぐらいためらったっていいじゃないか。
ストライダーは噴き出した。

「いや、そうは思えないな。いいか、おれはあいつのことを何千年も前から知ってる。人に言えないようなことも」

「それがどうしたの?」

「教えてやってもいいってことさ。あいつのことできみの気が変わったら、おれが間に入ってやろう」

お仲間はおまえの悪口を吹きこむつもりだぞ。あの子に気があるのかもしれない。これからはうかつに信用できないな。

サビンは一瞬不安に襲われたが、すぐにそんな思いを振り払った。ストライダーはグウェン本人のために、そしておれのために警告しようとしてるんだ。自分でそう言ってるじゃないか。その口を閉じろ。

「あの人にはかかわりたくないわ」

「それなら、おれの知ってることを聞かなくても気にならないよな」

薄く開けたまぶたの下から、ストライダーが席を立とうとするのが見えた。
グウェンは彼の手首をつかんで引き戻した。

「ちょっと待って」

サビンはぎゅっと座席の肘掛けを握り、跳びあがって二人を引き離したい衝動をこらえた。

「教えてちょうだい」

グウェンはストライダーの手首を放した。
ストライダーはゆっくりと腰を下ろした。にやついている。狭い視界の中でも彼の歯がきらめくのが見えた。ふいにサビンは自分も笑いたくなった。グウェンはおれに興味を持っている。

どうやったらうまくおまえを殺せるか知りたいのかもな。

うるさい、黙れ!

「特別に知りたいことはあるかい?」

ストライダーがきいた。

「どうしてあの人はあんなに……よそよそしいの?」

グウェンはまだこちらを見ている。その視線はサビンを突き刺し、体を熱くした。

「誰にでもよそよそしいのか、それともわたしの運がいいだけ?」

「心配するな、きみにだけよそよそしいんじゃない。どんな女にでもああなんだ。そうするしかないのさ。いいか、あいつの魔物は――」

「魔物?」

グウェンは息をのんだ。はっとして体を起こした彼女の顔から血の気が引いた。

「今、魔物って言ったわね?」

「ああ、いや……言ったかな?」

ストライダーはまた助けを求めるように飛行機の中を見まわした。

「ええ、たしかに言ったわ。魔物にハンターに蝶のタトゥー。あのタトゥーを見たときに気がつけばよかったのよ。でもみんないい人に見えた。わたしに危害を加えなかったし、蝶のタトゥーのある人なんていくらでもいると思ったわ」

グウェンもあたりを見まわし、新たな恐怖の目で戦士を見つめた。次の瞬間、グウェンは座席から跳びあがってストライダーから離れ、バスルームのほうに逃げようとした。そして後ろ向きのまま両手を前に突き出し、素手で戦士たちを近づけまいとした。

「これで……これでわかったわ。あなたたち、暗黒の戦士ね?神々が地上に追放した不死の戦士。姉があなたたち悪魔の追放物語をよく話してくれたわ」

「グウェン」

ストライダーが話しかけた。

「落ち着いてくれ。頼む」

「パンドラを殺したのね。罪のない人を。古代ギリシャの町に火をつけて、町には血と悲鳴が満ちあふれた。男たちを拷問して、生きたまま手足を引き裂いたわ」

ストライダーの顔つきがこわばった。

「あいつらは殺されて当然だったんだ。仲間を殺し、おれたちも殺そうとした」

「この子が叫んだら楽しいことが起きるぞ」

ギデオンが険しい顔でストライダーのそばに来た。

「気絶させるな。手伝わないから。いいな?」

「待て。手荒なことをしたらこっちの喉が危ない。ほかの手を試してみよう。おい、パリス!」

ストライダーはグウェンから目を離さずに呼んだ。

「手を貸してくれ」

パリスが決然とした顔でやってくるのと同時に、サビンが寝たふりをやめて立ちあがった。

「グウェン」

パリスが得意の技でグウェンを落ち着かせる前になんとかしなければ。だがグウェンは息をするのも苦しいらしく、興奮状態で手がつけられない。

「落ち着いて話しあえば――」

「魔物だらけ……魔物だらけだわ」

グウェンは口を開いて悲鳴をあげた。何度も何度も。

魔物。暗黒の戦士。かつては神々に愛されたが、今は地上に災厄をもたらす者たち。戦士は体内に魔物を宿している。あまりの邪悪さに地獄さえもてあましたという魔物を。その魔物とは、病、死、悲嘆、苦痛、暴力だ。そんな魔物たちと今、同じ飛行機の中にいると思うとグウェンのパニックはさらに高まった。
飛行機の機体は揺れて傾き、危険なほどのスピードで高度を下げていった。それでも戦士は動じない。グウェンの周囲に集まり、取り囲み、押さえつけようとしている。グウェンの心臓が重い鼓動を打って血液を送り出し、耳を轟音で満たした。その音がハルピュイアの荒々しい叫び声を打ち消してくれればいいのに……そんな幸運は訪れない。頭の中は音で沸きたち、理性を消し去り、グウェンを押し流していく……死と破壊のみが支配する暗い淵へと。
戦士たちの力と凶暴さを見たときに魔物の存在に気づくべきだった。サビンに会ったときのあの赤い目……右の脇腹の蝶のタトゥー……。
わたしはなんてばかだったんだろう。
戦士の姿を何日も見ていたというのに、疲労と空腹と解放された安心感のせいでサビン以外の者のタトゥーに気がつかなかった。サビンの魅力にすっかりとらわれていたせいもある。今になって考えると、戦士たちはグウェンの前ではいつもちゃんと服を着ていた。彼女のつらい体験に同情し、おびえさせないように肌の露出を控えたのだろうと思っていた。けれども今になって本当の理由がわかった。彼らはただタトゥーを隠したかったのだ。
サビンにはどんな魔物が取り憑いているのだろうとグウェンは思った。彼女は知らずにその魔物を見つめ、言葉や行動に惹きつけられたのだ。そして、キスし、触り、爪を立て、身を寄せる想像までした。
姉たちはよくもこの邪悪な王子を崇拝できたものだ。もちろん姉たちはイメージしか知らない。グウェンが知るかぎり、会ったことはないはずだ。会ったら生きては帰れないだろう。情けも後悔も知らない、どんな邪悪なおこないもためらわない男たちなのだから。彼らが身を投じた戦いは、過去から現在へ、海から海へ、死から死へと果てしなく続いている。
暗黒の戦士の話を聞くたびに、グウェンは夜陰にうごめき太陽から隠れる獣たちへの恐怖を募らせていった。それはちょうどグウェンが自分の中の獣を恐れるようになったころで、彼らの話を聞かされるようになったのはそれが理由だった。グウェンは戦士のまねをしろと教えられた。グウェンは話を聞いただけで怖くなったが、内なるハルピュイアは一語一語を味わい、力を発揮する日を心待ちにした。
逃げ出さなければ。ここにはいられない。ここにいてもろくなことはない。今度は彼らに殺されるか、わたしの中のハルピュイアが戦士のまねをして力を増すかどちらかだ。これならあの卑劣な敵に捕らわれていたほうがよかった。

「グウェン、叫ぶのをやめろ」

聞き覚えのある荒っぽい声が、理性をおおい尽くす混乱の渦の向こうから聞こえてきたが、グウェンは悲鳴を止められなかった。

「サビン、この女を黙らせろ。耳から血が出そうだ」

「役立たずは黙ってろ。グウェンドリン、落ち着かないときみはおれたちを切り裂くぞ。おれたちをそんな目にあわせたいのか、ダーリン?助け出し、守ってやったおれたちを殺したいのか?おれたちは魔物を宿してるが、悪魔じゃない。それはきみも知ってるはずだ。あの人間どもみたいにきみたちにひどいことをしたか?怒りにまかせて手荒いことをしたか?無理やり奪おうとしたか?いや、そんなことはしていない」

サビンの言うとおりだ。けれども魔物の言葉を信じていいのだろうか?魔物は嘘を好む。それはハルピュイアも同じだと理性の声がした。心の中には彼を信じたい自分がいた。別の自分は、がたがた揺れながら急降下する飛行機から飛び降りたいと思っている。
そうだ、理性的に考えよう。戦士と過ごすようになって二日になる。彼女はまだ生きていて、体には傷ひとつない。このままパニックが続けばハルピュイアが飛び出して彼女を支配し、周囲をめちゃくちゃにする。おそらくパイロットを殺し、飛行機は墜落するだろう。人間どもの手から、そして暗黒の戦士から逃れたというのに、みずから命を絶つなんてばかげてる。
理性が頭をもたげた。
心が落ち着き始め、甲高い悲鳴が消えていった。皆、立ち尽くしている。グウェンは息を吸い、吐こうとした。けれども喉が腫れて息が苦しい。コックピットからけたたましいアラーム音が聞こえてくる。次のパニックが始まる前に飛行機は機首を上げて水平に飛び始め、あたりは静かになった。

「いい子だ。さあ、みんな下がってくれ。グウェンのことはおれにまかせろ」

サビンの声に自信はなかったが、覚悟だけは感じ取れた。
グウェンの意識に小さな光が灯り、色彩がよみがえり、周囲の現実が戻ってきた。なんということだろう。視界が赤外線暗視に変わっていたのに自分でも気がつかなかった。ハルピュイアはすぐそこにいて、もう少しで飛び出すところだった。そうならなかったのが奇跡だ。
グウェンはまだ飛行機の後部に立ち尽くしていた。前にいるのはサビンだけだ。ほかの戦士は離れたが、こちらに背を向けてはいない。怖がっているから?それともリーダーを守っている?
サビンのチョコレート色の目が同じ高さでこちらを見ている。その目は、地下墓地でハンターと呼ばれる人間の男に短剣を突きたてたときよりさらに険しい。サビンは両手を広げた。

「もう少し落ち着いてくれないか」

本当にそう思っているの?鼻か口からもっと空気を吸いこめれば落ち着けるかもしれないけれど、それができない。無意識の闇が忍び寄り、視界がまた暗くなり始めた。

「どうしたらきみを助けられる?」

足音がしてサビンが近づいてくるのがわかった。彼のぬくもりがしみこんできた。

「空気を」

グウェンは喉のわずかな隙間からそのひと言を絞り出した。サビンは両手で彼女の肩をつかみ、そっと押した。力を失った脚は持ちこたえられず、彼女はそのまま崩れ落ちたが、さいわいそこは座席だった。

「空気をちょうだい」

サビンはためらわずに膝をついた。グウェンの脚の間にたくましい体を割りこませ、両手で頬を包んで彼女の視線を自分に向けさせた。強い光を放つ茶色の目が、渦巻く嵐の中で彼女をつなぎ止める唯一の碇となり、世界の中心となった。

「おれの息を奪え」

固い親指がグウェンの頬をかすめるように撫でた。

「いいな?」

奪うって……何を?そう思ったのも一瞬で、グウェンはどうでもよくなった。胸が!骨も筋肉も大きな手でねじあげられているみたいだ。肋骨に鋭い痛みが走って心臓を直撃し、一瞬鼓動が止まりかけた。グウェンの体がびくっと動いた。

「顔が真っ青だ。これから口うつしで呼吸を助ける。いいな?」

もしこれが罠だったらどうする?もし――

やめて!もうろうとした意識の中でも、その不気味なささやきが自分のものではないのがわかった。さいわいその声はおとなしく引き下がった。この肺がちゃんとふくらんでくれさえすれば。

「わたし……わたしは……」

「おれが助ける」

サビンは彼女の反応を恐れるそぶりを見せなかった。彼は片手をグウェンのうなじにあてて引き寄せ、顔を近づけた。二人の唇が重なり、熱くからみあった。サビンの熱い舌が歯を開かせ、ミントの香りのする熱い空気がグウェンの喉に流れこんだ。
無意識のうちにグウェンの腕が彼の首にまわり、しっかりと抱きとめた。固い胸板とやわらかな丸みがぶつかりあう。シャツを隔てていてもサビンのネックレスの冷たさが感じられ、グウェンはあえいだ。彼女は貪欲にサビンの息を奪った。

「もっと」

グウェンは内なる獣を、そしてこの恋を制御できるのか?ハンターの忌まわしき企みが明らかに!続きは本編でお楽しみください。

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