大義のため。わたしはそのためだけに戦ってきた。
悪なき世界。病も暴力もなく、欲や腐敗もない。そんな世界がもうすぐそこにある。わたしにはわかる。だからこそ、休むことなく突き進んでいるのだ。
そう、きみはわたしが人を殺したり、利用したりするさまを非情だと思うかもしれない。だが、平和や希望や愛が何かをわかっていれば、いっしょに戦っているはずだ。
きみも“ひどいこと”をしているだろう。
わからないぞ、きみもいつか、わたしのようになるかもしれない。毎朝目を覚ますたびに、今日こそ、と考えるように。
今日こそあの箱を見つける日だと。パンドラの悪魔たちを一掃する日なのだと。その日、この世から悪は消え去り、我々は幸福に満ちた世界の完成を祝い、永遠の宴を始めるのだ。
まだその日が訪れていないことに、心を痛めているように見えるかい?
そのとおりだ。だがその日は近い……わたしにはわかる。こうしているあいだも警戒を怠らず、悪魔たちや、やつらをかくまう人間たちのことを、細心の注意を払って調べつづけるのだ。いつの日か、わたしの調査がよき目的のために使われることを願って。
ひとつ、覚えておいてほしい。もし我々の仲間ではないのなら、きみは敵だ。これも覚えておくといい。我々の敵は、いずれ死ぬ運命にある。じわじわと苦しみながら……。
注:ディーン・ステファノは3作目『オリンポスの咎人Ⅲ レイエス』に登場します。ご期待ください。

- 対象者:
- マドックス(ブダペスト部隊)
- 内なる魔物:
- 暴力
- 身長:
- 193センチ
- 髪:
- 黒
- 瞳:
- 紫(怒りを感じているときは、赤く光る)
- 蝶のタトゥー:
- 左肩上から背にかけて。
- 特徴:
- 怒りを感じると、悪霊の骸骨が顔に透けて映る。
- 得意とする武器:
- 拳
“暴力”の魔物について:パンドラが刺し殺され、聖なる箱が行方不明になった事件は、“暴力”の魔物に端を発する。現代社会においては、ギャングの抗争からレイプ、殺人、テロリズムまで、すべて“暴力”の力によるものと考えられる。
- 特記事項:
パンドラを惨殺した罰として、対象者は何世紀にもわたり、毎夜殺されてはよみがえるという呪いをかけられた。いまその呪いは解かれている――方法は不明。しかし、いまだ発作的に暴力に訴えることがあり、激しやすく危険性が高いと推測される。
- 弱点:
最近では、アシュリン・ダロウという人間の女性に強い愛着を持っている。彼女はもともと〈世界超心理学協会〉の超聴覚学者だが、現在はブダペストの要塞に居住。ダロウの庇護者であった〈世界超心理学協会〉のフレデリック・マッキントッシュ博士が、協会におけるダロウの本当の役割をはじめから明らかにしていたら、彼女が悪の戦士たちのもとへ逃亡することはなかったはずだと思わずにはいられない。
- 目標:
可能であればアシュリン・ダロウを捕らえて敵をおびき寄せる餌とし、救出に来た対象者をパンドラの箱が発見される日まで投獄すること。
※注意:ダロウは、その場で過去に交わされたすべての会話を聞きとることができる超能力を持つ。調査中、および任務の遂行中は、完全なる沈黙が求められる。つねに予期せぬ事態に備えること。

- 対象者:
- ルシアン(ブダペスト部隊)
- 内なる魔物:
- 死
- 身長:
- 198センチ
- 髪:
- 黒、肩の長さ
- 瞳:
- 片方ずつ違う色。
右目は茶(通常の瞳)、左目は青(精神世界を覗くことができる)
- 蝶のタトゥー:
- 左肩上から胸にかけて。
- 特徴:
- 顔と体が傷に覆われている。
“死”の魔物とのつながりを示す薔薇の香りをまとっている。
- 得意とする武器:
- ナイフ。毒が塗られている先端に注意すること。
“死”の魔物について:“死”の魔物は、魂を天国へ送るか地獄へ連れていくかを決める最終的な任務を負う。われわれハンターに対しては差別的であり、殺すだけでなく、魂が決して天国へ行くことのないよう、不当に対処している。
- 特記事項:
何世紀も前、怒りに駆られて自らの顔と体に醜い傷をつけた。この事実は起伏の激しい危険な気性を示している。また、目に見えないスピードでひとつの場所から別の場所へ瞬間移動できるため、特異な脅威であると言える。
- 弱点:
ふたつある。ひとつ目は、対象者の魂が――それが魂であればだが――体を抜け出しているとき、残された体が無防備になること。おそらく攻撃に最も適した瞬間だろう。ふたつ目は、“無秩序”の女神アニヤに対して情を寄せていること。さらに特筆すべきは、アニヤに能力を制限する呪いがかけられていることである。偵察隊は、大義のため、さらに調査を進める。
- 目標:
分断攻略の作戦をとり、対象者を“無秩序”の女神から引き離して苦しませること。女神を殺害し、“死”の魔物の魂が体を離れるように仕向ければ、対象者は最も無防備な状態になる。
- ※注意:
“無秩序”の女神は盗みを働いたり、扇動的な行動をとったり、反抗的になったりする傾向がある。彼女の永久的な捕獲は、われわれハンターにとって格別の関心対象となっている。

- 対象者:
- レイエス(ブダペスト部隊)
- 内なる魔物:
- 苦痛
- 身長:
- 196センチ
- 髪:
- 濃い茶色
- 瞳:
- 茶色
- 蝶のタトゥー:
- 胸と首
- 特徴:
- 黒く日焼けした肌。
快楽的な自傷行為によるかさぶたを誇示している。
- 得意とする武器:
- 短剣、刀、銃
“苦痛”という魔物について:遥か昔から存在している肉体的な痛みや苦しみは、“苦痛”の魔物の手当たりしだいの残虐行為に起因するものと思われる。
- 特記事項:
痛みを感じるために、極端な行動をとるところを目撃されている。気晴らしに屋根から飛びおりたり、自らの体を切り刻んだりする。
- 弱点:
人間の女性ダニカ・フォードが戦士仲間のアーロンに誘拐されてきて以来、対象者は彼女に情を寄せている。わたしはできる限りのことをして、ダニカを仲間に迎え入れようと試みた。二度目の誘拐劇を仕立てあげて、悪魔どもが彼女を助けに来るように仕向け、気づかれずにダニカをスパイとしてやつらの中枢に送り込んだ。ダニカには大きな将来性を感じていたが、結局は敵側に誘惑されてしまい、いまでは暗黒の戦士たちに忠誠を誓っている。彼女の堕落はわたしの失敗だったと思っている。
- 目標:
対象者をダニカから引き離し、パンドラの箱が見つかるまで投獄すること。ダニカに、寝返った者の末路を知らしめること。

- 対象者:
- サビン(ギリシャ部隊)
- 内なる魔物:
- 疑念
- 身長:
- 200センチ
- 髪:
- 茶色
- 瞳:
- 金茶色
- 蝶のタトゥー:
- 右の脇腹からウエストにかけて
- 特徴:
- 死んだ友であるバーデンから贈られたとおぼしきネックレスをしている。
バーデンは“不信”の番人であり、ハンターが最初にしとめた敵である。
- 得意とする武器:
- 対象者はナイフや銃や手裏剣などを用いることが多かったが、
臆病風に吹かれたのか、今はハルピュイアの花嫁の背後に隠れることを好む。
“疑念”の魔物について:最も下劣なこの魔物は、そばにいるすべての者の耳に不安を吹き込んで深刻な影響を与え、ときとして命の危険を招くほどの自信喪失状態におちいらせる。この魔物およびそれを宿す唾棄すべき生き物は、11年前、我が愛する妻ダーラを自殺に追いやった張本人である。
- 特記事項:
誰よりも憎いこの敵について客観的に記すことは不可能だ。この怪物は忠実な我が妻を甘い言葉と汚い嘘でわたしから引き離し、わたしの秘密を漏らすようにしむけた。そして望みのものを手に入れると妻に魔物をけしかけ、わたしが気がついたとき、妻は手首を切っていた。
- 弱点:
対象者は、伝説の種族ハルピュイアで妻の“臆病者のグウェンドリン”にすべてをささげている。シカゴの我が訓練施設で発覚した複雑な事態により、対象者に対してその女を利用できるかどうかはさだかでない。だが許可を取るより、先に行動してあとで許しを乞うほうが簡単な場合もある。
- 目標:
ガレンには知らせずに、対象者をひそかに妻から引き離すこと。対象者は人妻を誘惑するのを好む。したがってこちらもその妻を誘惑し、対象者にその死体を発見させること。

- 対象者:
- アーロン(ブダペスト部隊)
- 内なる魔物:
- 怒り
- 身長:
- 198センチ
- 髪:
- 軍人風の短髪、茶色
- 瞳:
- 紫
- 蝶のタトゥー:
- 背中の中心
- 特徴:
- 極めて薄い黒い翼を持つ。
使わないとき、翼は背中の切れ目に隠されている。
顔、体ともに、戦いの光景や武器や自分が手をかけた人間たちのタトゥーが一面に刻まれている。
眉にふたつのリング型のピアス。
- 得意とする武器:
- 特別な好みを持たず、いかなる武器も自在に操る。
- “怒り”の魔物について:
表向き“怒り”の魔物は罰に値する者だけを攻撃するとしている。こうして一見“正義”を装ってはいるが、これは殺戮の衝動とみずからの悪行を正当化し、今後も見境なく人間に危害を加えるための魔物の詭弁である。
- 特記事項:
対象者は出所不明の呪いにより流血の衝動にとらわれ、人間の女性ダニカ・フォードおよびその母方の祖母、母親、姉を殺しかけた。その衝動は消えたと思われるが、対象者が社会の脅威であることには変わりない。
- 弱点:
対象者は自分を神に近い存在とみなし、人間を自分より劣る脆弱なものとみなしている。しかし、仲間の一人パリスの詳細不明なある行為に報いようとする決意は弱点として利用できると思われる。対象者は“地獄のしもべ”レギオンに強い愛着を示し、守り抜くことを誓っている。それに加え対象者は、目に見えない存在に身辺を探られているという幻覚を持っているらしい。
- 目標:
仲間およびレギオンへの献身的愛情を利用する。偵察隊は、対象者の幻覚をハンターの有利になるように利用できないか探っている。
- ※注意:
対象者のもとに天使が堕ちてくる前の調査情報。

- 対象者:
- ギデオン(ギリシャ部隊)
- 内なる魔物:
- 嘘
- 身長:
- 190.5センチ
- 髪:
- 青く染めてある。
- 瞳:
- 青。目のまわりが墨で縁取りされている。
- 蝶のタトゥー:
- 右の太腿
- 特徴:
- 複数のピアス、ゴス風の外見
- 得意とする武器:
- すべて。とくに得手不得手はなく、手近にある武器なら何でも。
- “嘘”の魔物について:
各国の政界に“嘘”が入り込んだために、世界の指導者は空虚な約束をするようになり、現代社会の分裂につながった。
- 特記事項:
対象者は激痛なしに真実を語ることができない。大いなるハンターの先人たちは対象者を捕まえ、一定期間拘束することに成功した。そのあいだ、四肢再生の実験を行い、対象者の脚を切断した。しかし残念なことに、対象者は仲間の協力を得て逃亡し、両脚も再生してしまった。ただ、切断した両脚は今も我々の手にある。先ごろシカゴで我々は対象者への復讐を果たし、両腕を奪ったが、今度も長いあいだ奴を捕えておくことはできなかった。今や我々は奴の腕も持っている。
- 弱点:
不明。この忌々しい嘘つきから利用価値のある情報を引き出すことは不可能である。
- 目標:
この悪魔を捕まえ、世界からこの不快な存在を完全に消し去ること。また、奴の手脚を使った実験を継続し、願わくは不死身のハンターを作り出すこと。
- ※注意:
対象者が邪悪な黒髪の女と出会う前の調査情報。
INTO THE DARK
by Gena Showalter
Copyright © 2010 by Harlequin Enterprises Ⅱ B.V./ S.a.r.l.







